:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::七条×和希:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::


 何とはなしに訪れた会計会室。
 西園寺は所用で学生会室に出かけていたが、七条がおり、手ずからいれた本格的な紅茶でもてなしてくれた。
 その紅茶の香りにしばしゆったりとくつろいでいると、やけに機嫌の良い七条が唐突に話し掛けてきた。

「遠藤君……いいものを見せてあげましょうか」
「何?」

「ふふっ。これ、僕の宝物なんです」
そう言うと一枚の写真を手渡して来た。
 あえて単色に加工された写真。
古いものをパソコンで取り込んで加工したのち出力したもののようだが……。
 まじまじと見入った瞬間、和希は凍り付いた。
 そこに写っていたのは、幼い啓太と在りし日の自分だったからだ……。
 仲良く寄り添う笑顔が時を止めてそこにあった。

「し…っしし七条さん、これをどこで…っ?!」


 
 現在の年令を啓太にすら伏せているだけに、実年齢を憶測する材料になりそうなこの写真は和希にとって有り難くない物であった。

「知りたいですか?」

「し、知りたいもなにもっ!っていうかなんで七条君こんなものを宝ものだなんて…っっ!!」
 今や和希の額には脂汗が滲んでいた。しかし七条は気にかけた様子もなくひょうひょうと言って退けた。
「好きな人の写真が前から欲しかったんです。ようやく手にはいったんですよ。」
 和希はしばしきょとん、と七条を見つめた。そして、
「あっ。………なんだそうか!啓太の写真がほしかったのか……!」
 和希はようやく思い到り、納得した。
 七条と啓太が最近かなり懇意な仲にある事を思い出したからだ。それならば宝物、と言うのも頷ける。
しかし。
「違います。欲しかったのは遠藤君のですよ。」 
「はぁ?」
 思わず間の抜けた声が出てしまった。

「ですから、欲しかったのは遠藤君の写真だと言ってるんです。

 これには和希も開いた口が塞がらなかった。
「ききき君は一体何を」
「おや、動揺しているんですか?理事長ともあろうお方が」
「…っ!するに決まってるだろう!大体君は啓太が好きなんじゃないのか!」
「……伊藤君は確かに大切な友達だと思っていますが…でも、愛おしいと思うのはあなたなんですよ、遠藤君。」
「!!」
和希は凝固していた。
「遠藤君?」
はっ。
「そ、そんな事より、どこから入手したんだい、こんなもの!」
(おや、それで話題を逸らしたつもりなんですかね…)
「……仕方ないですね、特別に教えてあげますよ」
七条は嘆息した。
「……伊藤君が、くれたんです。誕生日ですから、今日。」
「誰の」
「僕のです」
和希は内心で舌打ちする。
(啓太のやつ…何考えて……!)
「とっても気の利いたプレゼントですよね。」
七条は微笑んだ。
「さて……君からも、何か頂けませんか……?」
 ジリジリ間合いをつめてくる七条。
 「ああ…さっきの告白のお返事でもかまいませんよ?」
 にっこりと一見邪気のない微笑みが怖い。
 和希の背中と壁の距離はあとわずかだった……。




2004/9/13 (Mon.) 11:36:16
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えー、和希受け天国様の七条和希推奨月間にささげさせて頂きました!
七和、すげー好きなのに、書いた事がない事に気付きました……。
結局なんでも本当は読み専なんですよ…。ネタもないし。
アタタ。

取りあえず七和同志求ムー!